ブライダルムービーに混入した雑音(噴水の音)の軽減依頼
先日、定期的にお世話になっている映像制作会社からとあるシーンに混入した噴水の音が軽減できないかという相談がありました。
1カメ収録、ガーデンウエディングの記録ムービー。画角の兼ね合いでカメラ接続されたガンマイクが庭の噴水の音を意図せず狙ってしまい、比較的静かな式中の場面演出を台無しにしてしまうというもの。イメージカットなら音声のボリュームを絞ればいいのですが、式中のMCがありどうしてもそのカットを使用する必要があり、噴水の音のみを軽減したいというリクエスト。
噴水(水の落ちる音)のカットは現行技術では困難
音質改善サービスを立ち上げてから初めての事例。思った以上に難しく、消し込みはほぼ不可能という判断を下しました。ある程度の軽減処理にとどめ、別カットとの違和感を回避しながら妥協点を探るしかありません。
最新の音声修復技術では携帯の着信音やサイレンなどは高い精度で消し込めます。それらの音は周囲の音に比べてハッキリ違いがあり、混入する周波数帯域も限定されています。
しかし…「ジョロジョロ~」「ジャバジャバ…」といった水の音は。
噴水は水が噴き出し水面に落ちることから「水」と「水」がぶつかる音が一定かつランダムに鳴り続ける。
「シャワシシャワ~」といった高域の音から「ジョボジョボ~」という低域まで周波数帯域の全域に混入。
そのため、はっきりと消し込むのは現行音質補正技術では対応できません。
納品音源の落としどころの音質改善とは
オールドタイプのノイズサプレッサーで全体的な軽減。
私が使用するiZotope RX 6AdvancedではSpectral De-noiseで噴水部分の音をキャプチャー(解析)後、MC部分の声が歪まないギリギリのところまで全体ノイズを削る軽減処理をトライ&エラーで調整。
De-Noice(Adobe AudisionCCにも似たようなノイズ除去機能が有)
問題カットのように「モロに噴水音を狙ってしまった音」ではなく、別角度から収録した「噴水音がほどよく聞こえるカット」の音を問題音声と再合成することで別カットの音声の雰囲気を残したまま、活かしたいMCの声になじませます。
RXにはAmbience Macthというモジュールがあり、異なるクリップのバックグラウンドノイズを合成できます。
アンビエンスノイズを合成(参考動画)
前後のクリップがある場合は、その流れがおかしくならないように仕上げる改善の落としどころに処理するのがコツです。
音質改善サービスのハイブリッド・サウンドリフォームではこのようなビデオクリップの高度な修復もプロアマ問わず承っております。撮り直しの利かないブライダルビデオなどもお気軽にご相談ください。
学校や教室向けの動画コンテンツの映像編集も行っており、商用映像における音声トラブルも幅広く対応させていただきます。