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映画の整音・MAを依頼する前の素材準備

初めて外注する監督・編集者の方へ

映画の整音・MAでは、完成した動画だけでなく、編集点や音声素材の配置情報を含むAAF/OMFと、同じタイムラインから書き出した参照動画が必要です。

初めから専門用語をすべて理解している必要はありません。ただし、映像と音声の同期や加工前の素材が失われていると、MA作業を開始できない場合があります。

大切なのは「AAFを書き出せたか」だけではありません。

AAFと参照動画が同じタイムラインから作られ、映像・音声・総尺が一致していることが、作業開始の前提です。

最初のチェックリスト

ご共有前に確認する6項目

✓ 映像編集が完了し、作品の尺が確定している

✓ AAF/OMFと参照動画を同じタイムラインから書き出している

✓ 参照動画に編集時点の音声が入っている

✓ セリフ、ナレーション、BGM、SEなどを識別できる

✓ 問題のある音声ほど、加工前の元素材を参照できる

✓ 冒頭・前半・中盤・終盤で同期を確認している

1項目でも不明な場合は、書き出しを進める前に編集担当者へご確認ください。

ピクチャーロック

MA開始前に、映像編集を完了してください

本格的なMAへ進む前に、映像編集を完了し、作品の総尺を確定してください。これを一般に「ピクチャーロック」と呼びます。

次の変更は、Pro Tools上の大量の音声クリップを映像へ合わせ直す原因になります。

・カットの追加・削除

・カット尺の変更

・シーン順の変更

・冒頭やエンディングの変更

・フレームレートや開始タイムコードの変更

・AAF/OMFを書き出した後の映像編集

長編作品では、途中の1カットが数フレーム変わっただけでも、それ以降の音声がすべてずれる可能性があります。

MA開始後に映像を変更する場合は、変更箇所と変更前後のタイムコードを一覧にしてご連絡ください。変更量によっては、再コンフォーム費用と納期の再調整が必要になります。

行わない音声処理

MA依頼前に、以下の音声処理は原則行わないでください

・ノイズ除去

・EQ

・コンプレッサー

・AI音声補正、Voice Isolation

・リバーブ除去

・音量の自動調整、自動均一化

・クリップ単位での過度な整音

・問題音を消すための不可逆的な上書き

「聞きづらいから、先に直しておこう」は不要です。

問題のある素材ほど、可能な限り原音の状態でお渡しください。

ノイズ除去やAI音声補正は、設定によって声の成分まで削り、不自然な金属感、にじみ、途切れなどを生むことがあります。加工後の音声しか残っていない場合、MA側で元の声へ戻すことはできません。

すでに処理した音を演出意図として残したい場合は、加工済み素材だけに置き換えず、加工前の元素材も参照できる状態にしてください。

仮の音量調整やフェードは、編集意図を把握する参考になります。すべてを削除する必要はありません。ただし、素材へ焼き込まず、MA側で再調整できる状態を推奨します。

AAF/OMFの基本

AAF/OMFは「音声素材の設計図」です

AAF/OMFは、完成音声を1本にまとめたファイルではありません。映像編集ソフト上の音声クリップ、編集点、配置位置、トラック構成などをPro Toolsへ受け渡すためのデータです。

最低限、次の用途を識別できるように整理してください。

Dialogue
セリフ、インタビュー、現場収録音

Narration
ナレーション、ボイスオーバー

Ambience
環境音、ルームトーン、オンリー

Effects
効果音、フォーリー、演出音

Music
BGM、劇中歌

Guide
仮音声、確認専用素材

AAFが開いても、MAを開始できない例

・セリフ、ナレーション、BGM、SEが同じ分類に混在している

・すべてのトラック名が同じになっている

・使用していないクリップや仮素材が大量に残っている

・AI生成動画などに付属した不要音声が含まれている

・ガンマイク、ピンマイク、カメラ音声の区別がつかない

・ステレオ素材がモノラルへ分割され、左右の判別ができない

・加工済み音声しか参照できない

「AAFが開くこと」と「MAを開始できること」は同じではありません。

FCPX(Finalcut pro X)のRoles

Final Cut Proでは、Roles設定が必須です!!!

Final Cut Proは、Premiere ProやDaVinci Resolveのような固定トラックではなく、マグネティックタイムラインとRolesで素材の役割を管理します。

Rolesを整理しないままFCPXMLからAAFへ変換すると、Final Cut Pro上では問題なく見えていたタイムラインが、Pro Tools上で大量の判別困難なトラックへ展開されることがあります。

少なくとも、次のRolesまたはSubrolesを設定してください。

・Dialogue:登場人物ごと、またはガン/ピンなどマイクごと

・Narration:ナレーション

・Effects:効果音

・Ambience:環境音、オンリー

・Music:BGM、劇中歌

・Guide:仮素材、使用未定素材

本来7〜8トラック程度に整理できる作品が、Roles未設定によって数十トラックへ展開されることがあります。

その場合、MA作業の前に、素材を一つずつ試聴して判別する作業が必要になります。(整理作業に追加料金が発生)

軽量な参照動画

AAFより先に、音声入りの軽量な参照動画を書き出してください

参照動画は、Pro Toolsで映像内容を確認しながら音を仕上げるためのガイドです。また、AAFの変換時に音声の抜けやずれが起きていないかを確認する基準にもなります。

高画質の上映マスターは必要ありません。2時間作品で数十GBになるような重い動画では、受け渡しやPro Tools上の再生に負担がかかります。

参照動画の推奨設定

ファイル形式:MP4

映像コーデック:H.264

解像度:1920×1080または1280×720

フレームレート:編集プロジェクトと同一

音声:編集時点のラフミックスを必ず含める

音声サンプルレート:48kHz推奨

タイムコード:可能であれば画面へ表示

HEVC/H.265、可変フレームレート、M4V、極端に高いビットレートの動画は、環境によって再生や読み込みが不安定になることがあります。参照用には、互換性を優先した軽量なH.264 MP4を推奨します。

参照動画には、必ず音声を入れてください。

MA側でも、動画のガイド音声とAAFの音声を比較し、素材抜けや同期ずれを確認することがあります。

同期セルフチェック(経験不足で不安な方向け)

書き出した参照動画をプロジェクトへ戻し、同期を確認してください

AAFを書き出す前に、参照動画が現在の編集タイムラインと一致しているかを確認します。特にFinal Cut Proはタイムライン構造が特殊なため、書き出し・変換事故を防ぐ保険としておすすめします。

確認手順
  • 映像編集が確定したタイムラインから、音声入りの軽量MP4を書き出す

  • 書き出したMP4を、同じ編集プロジェクトへ新しい素材として読み込む

  • MP4を、書き出し元タイムラインと同じ開始位置へ正確に配置する

  • 元のタイムライン音声と、MP4に含まれるガイド音声を同時に再生する

  • 冒頭・前半・中盤・終盤・エンディング近くを横断して確認する

OKの目安

同じ内容がほぼ同時に聞こえ、わずかなダブリング程度の状態が最後まで変わらなければ、大きな同期ずれがないと判断できます。

書き出しを止めて確認すべき状態

・エコーのように二重に聞こえる間隔が途中から広がる

・冒頭は合うが、中盤や終盤でずれる

・特定のカットだけ音が二重になる

・MP4にはある音が元タイムラインにない、またはその逆

・総尺やエンディングの位置が一致しない

MP4の音声は圧縮されるため、この方法は波形の完全一致やサンプル単位の位相確認を目的としたものではありません。

フレーム単位の大きなずれ、途中から発生するずれ、音声抜けを発見するための実用的なセルフチェックです。

確認後、再配置したMP4の音声をAAFへ含めないでください。Guideロール/専用トラックとして分けるか、AAF書き出し時に除外してください。

共有素材一覧

ご共有いただく基本素材
必須の素材

・AAFまたはOMF

・AAF/OMFと同一タイムラインから書き出した音声入り参照動画

・作品尺、フレームレート、開始タイムコードの情報

・気になる箇所とタイムコードの一覧

作品に応じて必要な素材

・Rolesまたはトラック構成が分かるスクリーンショット

・台本、編集決定稿

・使用BGMの元ファイル

・効果音、オンリー、ルームトーン、環境音

・アフレコ素材

・ガンマイク/ピンマイクなど複数マイクの説明

・演出意図のある加工音と、その加工前素材

・納品先から指定されたラウドネス、チャンネル、ファイル仕様

ファイル名の例

作品名_PictureLock_v05_20260901.mp4

作品名、バージョン、書き出し日を含めると、旧版との取り違えを防ぎやすくなります。

追加整理費

AAF・編集素材の追加整理費が発生する場合があります

通常の初期確認は、映画MAのお見積もりに含まれます。

ただし、次のような状態では、本来の整音・ミックスとは別に、素材判別、トラック整理、同期確認、セッション再構築などの作業が必要です。

・Roles(FCPXの場合)/トラック分類がされていない

・不要クリップや未使用素材が大量に残っている

・複数マイクやステレオ素材の判別ができない

・AAFと参照動画の尺が異なる

・リンク切れや素材不足がある

・再共有と再検証を繰り返す必要がある

・編集プロジェクトの内容を映像と照合しながら再構築する必要がある

料金目安

軽微な整理・再確認
3,000〜5,000円

Roles不備・素材判別・複数回の再共有対応
8,000〜15,000円

大規模なセッション再構築・大量素材のサルベージ
個別見積もり

編集データの不備修正や映像編集プロジェクトの再構築は、通常のMA料金には含まれません。状態によっては、正常な素材の再提出をお願いするか、作業をお受けできない場合があります。

操作サポートとの境界

編集ソフトの操作サポートについて

Hybrid Sound Reformでは、納品されたAAF/OMF、参照動画、音声素材がMA作業に使用できる状態かを確認します。

一方、次のような編集ソフト固有の操作代行・トラブル解決は、通常の映画MAサービスには含まれません。

・Final Cut Pro、Premiere Pro、DaVinci Resolveの基本操作

・X2Proなど変換ツールの導入・設定

・XML/AAF書き出しエラーの原因調査

・Rolesやトラック構成の代理設計

・編集プロジェクトの整理・再構築

操作方法が分からない場合は、各ソフトの公式サポート、操作に詳しい映像編集者、編集ソフトに対応したAIサービス等へご確認ください。

当方がお伝えするのは、個別ソフトの操作方法ではなく、MAを安全に開始するために必要な受け渡し条件です。

Delivering Package

準備が整ったら、作品の状態をお知らせください

初めてMAを外注する場合でも、必要な素材が正しく揃っていれば問題ありません。

 

お問い合わせ時に、作品尺、編集ソフト、フレームレート、希望納期、上映予定、音声で気になっている問題をお知らせください。

 

プレビュー映像を確認し、改善の見込み、必要な作業範囲、料金をご案内します。

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