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なぜ自分の耳だけでは、映画の音の問題に気づけないのか

自主制作映画の音で、かなり怖いことがあります。

監督本人ほど、作品の音の問題に気づきにくくなる。

これです。


動画編集

実際、整音・MAのご相談をいただく中には、


「試写会でセリフが聞き取りづらいと言われた」 「上映して初めて音の違和感を指摘された」


というケースがあります。


編集している本人は、何度も確認しているはずです。

それなのに、なぜ気づけないのか。

理由はシンプルです。



同じ音を聞き続けると、耳は慣れる


数週間、数か月。

同じシーンを何度も編集していると、

最初は気になっていたノイズや音量差にも、だんだん慣れてきます。


音楽制作ではよく「耳が麻痺する」と言います。

映画の整音でも同じです。


だからプロのエンジニアも、

休憩したり、別の日に聞き直したり、他作品と比較したりします。

ずっと聞き続けている耳だけを信用しないためです。



さらに監督は「セリフを知っている」


ヘッドフォン











もうひとつ、大きな問題があります。

監督は、その作品を知りすぎています。

セリフも知っている。

演技の意図も知っている。 このシーンで何を伝えたいかも知っている。


すると、

実際には少し聞き取りづらいセリフでも、脳が勝手に補完します。


監督には「聞こえている」。


でも、初めて映画を見る観客には聞こえない。

ここに大きなズレが生まれます。


だから試写会で、

「このセリフ、何と言っていたんですか?」

と言われて、初めて問題に気づくことがあります。



MAの価値は「ノイズを消すこと」だけではない


整音・MAというと、


「ノイズを取る」 「音量を整える」 「BGMを調整する」


といった技術的な作業を想像する人が多いと思います。

もちろん、それもやります。


でも、大きな価値は別にあります。


作品に慣れていない耳で、初めて作品を聞けることです。


監督が何か月もかけて身につけた「聞こえ方の記憶」を、

MAエンジニアは持っていません。


だから、


「ここはセリフが少し聞き取りづらい」 「このカットだけ空気感が変わっている」 「BGMが入った瞬間、会話が弱くなる」


といったことに気づけます。


これは、ある意味で観客に近い耳です。



音にお金をかける自主映画も珍しくない


これまで担当した低予算の自主制作映画の中には、

整音・MAの費用が主演俳優のギャランティと同等、あるいはそれ以上

という作品もありました。


予算が限られている中で、それでも音にお金を使う。

それくらい、完成した映画の印象に音が影響することを、

経験のある制作者ほど理解しています。



試写会の前に、一度「他人の耳」を入れる


試写会で指摘されてから直すこともできます。

ただ、締切直前だとかなり大変です。


なのでおすすめは、

編集終盤の段階で一度、作品を知らない第三者に聞いてもらうことです。


必ずしも最初から本格的なMAを依頼する必要はありません。

まず、


「初見の人にもセリフは聞こえるか」 「途中で音が気になる場所はないか」


だけでも確認する。


監督自身の耳が悪いわけではありません。


作品を知りすぎた結果、監督には聞こえてしまう音がある。


ここを知っておくだけでも、

試写会での「音の不意打ち」はかなり減らせると思います。


映画の音は、最後まで自分の耳だけで判断しない。

自主制作映画ほど、これは覚えておいてほしいです。

音の不安がある方は、お気軽にご相談ください。



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