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テレビドラマと劇場公開映画の音は何が違う?

テレビの音質

劇場映画的サウンドデザインの考え方


映像作品を作り始めたばかりの監督から、よく聞く言葉があります。


「音はちゃんと聞こえているはずなのに、

なぜか“映画っぽく”ならない」


編集を終え、音量も揃えた。

ノイズもある程度取った。

それでも完成した作品を見返すと、

どこかテレビドラマや配信ドラマのように感じてしまう──。


その違和感の正体は、

“音の考え方”そのものの違い にあります。


この記事では、

テレビドラマと映画の音は何が違うのか

そして 映画的サウンドデザインとは何か を、

MA作業に詳しくない新人監督にも分かる言葉で解説します。



「聞こえる音」と「感じさせる音」の違い


テレビドラマの音づくりで最も重視されるのは、

情報の明確さです。


  • セリフがはっきり聞こえる

  • 効果音が分かりやすい

  • BGMが感情を補足する


視聴者は、家事をしながら、スマートフォンを見ながら、

“ながら視聴”していることも多いため、

音は 説明的で親切 であることが求められます。


一方、映画ではどうでしょうか。


映画館では、

暗い空間でスクリーンと音に集中します。

観客は作品の世界に 没入する準備ができている 状態です。


そのため映画の音に求められるのは、

「分かりやすさ」よりも

“世界観としての説得力”です。



映画の音は「目立たないほど、強い」


新人監督がまず驚くのが、

映画の音は意外なほど主張しない という点です。


  • 効果音が派手すぎない

  • BGMが前に出すぎない

  • セリフの裏で空気が静かに鳴っている


しかし、それでいて

観客は強く世界観を感じ取ります。


これは、映画の音が

「注意を引くため」ではなく

「空間を成立させるため」

に設計されているからです。


音は“聞かせるもの”ではなく、

その場に存在させるもの


ここが、テレビドラマとの大きな分岐点です。


背景音(アンビエンス)の扱いが決定的に違う


野外撮影

テレビドラマでは、背景音は最低限で済まされることも少なくありません。


  • セリフが聞こえればOK

  • 編集点で多少切れても問題になりにくい


しかし映画では、背景音こそが空間そのものです。


  • 部屋の広さ

  • 外の世界との距離

  • 人の気配

  • 時間帯や温度


これらを観客に伝えているのが、背景音

(アンビエンス)です。


映画的サウンドデザインでは、

「何も起きていない瞬間」にも

音で空気をつくり続ける ことが重要になります。



なぜ映画の無音は「怖い」「美しい」のか


映画では、無音が強い印象を持つことがあります。

それは本当に“音がない”からではありません。


実際には、


  • ごく小さな環境音

  • 微かな残響

  • 空間の気配


が存在しています。


これがあるからこそ、

観客は「静けさ」や「緊張」を感じ取れます。

新人監督がよくやってしまうのが、

音を完全に切ってしまうこと


するとそれは演出ではなく

「音が抜けた事故」に聞こえてしまいます。



MAとは「整える作業」ではなく「設計し直す工程」


MA(マルチオーディオ)と聞くと、

「最終調整」「仕上げ作業」

という印象を持つ方も多いでしょう。


しかし映画におけるMAは、

単なる調整ではありません。


  • セリフ

  • 効果音

  • 背景音

  • BGM


これらを一つの世界として再構築する工程

それが映画のMAです。


テレビドラマ的な音は

「各要素が分かりやすく並んでいる」状態。


映画的な音は

「すべてが同じ空気の中で呼吸している」状態。


この差が、

完成度に直結します。



新人監督が映画的サウンドに近づくための視点


重要シーン

キャリアの浅い監督が、

いきなり高度な音響設計を理解する必要はありません。


まずは、次の視点を持つだけで大きく変わります。


  • このシーンの“空気”はどんな質感か

  • セリフは、空間の中でどう聞こえるべきか

  • 音が感情を説明しすぎていないか

  • 静けさは「演出」になっているか


これらを意識するだけで、

音は「足し算」から

「設計」へと変わります。



映画的サウンドデザインがもたらすもの


音が映画的に設計されると、

次のような変化が起こります。


  • 役者の芝居が立体的に見える

  • 映像の説得力が増す

  • カットのつながりが自然になる

  • 観客が物語から離れにくくなる


多くの監督が整音・MA後にこう言います。

「やっと映画になった気がした」

これは感覚論ではなく、

音が世界観を支え始めた結果です。



結論:映画の音は「演出」ではなく「世界そのもの」


テレビドラマと映画の音の違いは、

技術の差ではありません。


思想の違いです。


  • テレビドラマの音:伝えるための音

  • 映画の音:存在させるための音


映画的サウンドデザインとは、

音で目立つことではなく、

観客を世界の中に閉じ込めること


新人監督であっても、

この視点を持つだけで、

作品の完成度は確実に変わります。


そして何より──


音は、映画の没入感を高める最大のポイントです。


映像と同じくらい、

音にも目を(耳を)向けてみてください。

そこに、「映画らしさ」の正体があります。



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