映画整音の基本:低予算でも劇場品質を実現する方法
- Sound Reformer / yamakaWA
- 9月30日
- 読了時間: 4分

映画制作において「音」はしばしば軽視されがちな要素ですが、実際には映像以上に観客の体験を左右します。特にセリフの聞き取りやすさや環境音の自然さは、作品全体のクオリティに直結します。大手スタジオのような潤沢な予算がなくても、工夫と適切な整音(ポストプロダクションの音声仕上げ)を行うことで、十分に劇場上映に耐えうる音を実現することが可能です。
本記事では、整音の基本と低予算での実現方法、そしてポスプロ業界における費用感を、学生監督や自主制作の方にも分かりやすく解説します。
整音とは?映画音声編集の基礎知識
整音(せいおん)は、撮影現場で収録された音を整理・調整し、観客に聞き取りやすく心地よいサウンドに仕上げる工程です。英語では「Sound Editing」「Re-recording Mixing」と呼ばれることが多く、映画ポストプロダクションの中核を担います。
主な作業は以下の通りです。
ダイアログ編集:セリフの音量や音質を整え、ノイズを除去
効果音(SE)の追加:足音やドアの開閉などリアリティを補強
アンビエンス調整:環境音を整えて空間の広がりを演出
音楽とのバランス調整:劇伴や挿入歌をセリフと自然に共存させる
フォーマット対応:ステレオや5.1chなど上映形式に合わせた仕上げ
なぜ整音が重要なのか?
学生映画や自主制作映画では「映像は良いのにセリフが聞き取れない」という課題がよくあります。観客にとって音声の聞き取りづらさは大きなストレスであり、作品の印象を一気に落とします。一般人にとって、日常から見慣れているテレビや映画の音が標準であることを忘れてはなりません。
逆に、音が整っていると多少映像が荒くても「プロらしい映画」に感じてもらえます。つまり整音は、作品をワンランク上に引き上げる最短ルートなのです。
ポスプロ業界における整音・MAの費用感
映画コンテンツの整音やMA(Multi Audio:映像と音を最終的に合成・調整する作業)は、スタジオの規模や上映規模によって費用が大きく異なります。
大規模映画(全国劇場公開クラス):数百万円〜数千万円規模
中規模映画祭上映作品:数十万円〜100万円前後
学生映画・自主制作:10万〜30万円程度で最低限の整音を依頼可能
都内の大手スタジオでは1時間あたり1〜2万円の使用料が発生し、整音エンジニアの人件費も加わります。そのため「映画祭上映に耐えうる音質にしたいが、数十万円は払えない」という監督にとって、フリーランスの整音サービスが現実的な選択肢となります。
低予算で劇場品質を目指す方法

1. 録音段階での工夫
ピンマイクを併用する
きちんとロケ先で音声もプレイバックチェックする
環境音(ルームトーン)を別録りしておく。こうした準備だけで整音の工数とコストは大きく変わります。
2. 無料・低価格整音ソフトの活用
iZotope RXなど高機能ソフトは高額ですが、Elements版やフリーVSTでも十分な改善が可能です。
3. フリーランスエンジニアに外注
短編映画なら5〜10万円程度で整音を受けるフリーランスも増えています。スタジオを借りずに済む分、コストを抑えやすいのが特徴です。
4. 優先順位を明確にする
最優先はセリフの明瞭さ。効果音や空間演出は後回しでも、セリフが聞き取れれば作品は成立します。
映画祭上映を意識した整音ポイント
上映形式の確認:国内の小劇場ならステレオ2.0で十分、海外映画祭では5.1chを求められるケースあり
ラウドネス対応:音量規格を満たさないと「音が小さい」と減点される可能性
音質チェック:試写の際は必ず劇場や大音量環境で確認すること
低予算でも「上映環境に耐える基準」を意識した整音が不可欠です。
まとめ:整音は映画の完成度を左右する
セリフを最優先で整える
必要最低限のノイズ除去を行う
音楽や効果音を適切にバランスさせる
外注やツールを活用して効率化する
整音は「豪華予算がないと不可能」な工程ではありません。工夫と優先順位の設定次第で、低予算でも劇場上映に耐えうる音を実現できます。
観客は「映像の美しさ」よりも意識せずとも心地よく「セリフが聞こえるかどうか」で作品の質を判断するもの。音に投資することは、映画を一段階プロフェッショナルに引き上げる最も効果的な手段なのです。
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