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プロが教える宅録ボーカルレコーディングのポイント

マイクロフォン

レコーディングスタジオと決定的に違う環境の違いを認識せよ

録音作業を前提としたレコーディングスタジオと自宅では収録クオリティを決定づける環境の差が顕著です。収録機材が揃って、いざボーカル録音しようと思ったとき、最も注力すべきポイントは以下の通り。                                                          

  1. 環境設定の重要性: 自宅でのレコーディングでは、利用可能なスペースに基づいて、マイクの配置を決めることが非常に重要です。広いスペースが利用できない場合は、部屋の条件を最大限に活用する工夫が求められます。

  2. マイクの位置決め: マイクをどこに設置するかは、録音のクオリティに大きく影響します。例えば、部屋の中央にマイクを置くか、壁際に設置するか等、マイクの位置によって音の反響が変わります。

  3. 録音環境の最適化: 自宅での録音は、ボーカル録音に特化されたスタジオのようにはいかないため、環境の最適化がクオリティを左右します。特に一般住宅やマンションの部屋で録音するときは、部屋の反響影響が強いです。そのためのマイクの位置決めから対策は必須と言えるでしょう。

自宅でのボーカルレコーディングでも、高いクオリティを目指すことが可能です。プロボーカリストの録音は反響のないデッドなボーカルブースが多くの場合使用されます。宅録ではマイクセッティングや部屋の特性を理解し、最適な環境設定に努めることが、成功への鍵となります。

ボーカル録音セッティングのポイント

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プロフェッショナルな録音を実現するための重要なポイント

  1. ケーブルの取り扱い: マイクスタンドにケーブルを巻くことで、見た目の美しさを保つと同時に、落下防止にもつながります。特に、演者がマイクに触れてしまった際にも安定性を保つために重要です。

  2. マイクの位置調整: ボーカリストの高さに合わせてマイクの位置を調整します。マイクのダイアフラムとボーカリストの口唇が同じ高さになるように設定することが理想的です。

  3. ポップガードの使用: ポップノイズの低減にはポップガードの使用が効果的です。マイクとの適切な距離(約5~7センチメートル)を保ち、不要な空気の流れを避けることが重要です。

  4. 適切なマイキング距離: ボーカリストとマイクとの距離は約10センチメートル以内が理想的です。これにより、クリアな音質を保ちながら、声の細部まで正確に捉えることができます。

これらのポイントは、自宅レコーディングでもスタジオ録音でも、高品質なボーカルトラックを作成するために役立ちます。ポップガードの正しい使用やマイクの適切な位置設定は、プロレベルの音質を実現するための基本であり、これらを適切に実施することで、より良いレコーディング結果を得ることができます。

モニターセッティングは歌のパフォーマンスをを左右します

ボーカルレコーディングの効率的なセッティングには、いくつかのキーポイントがあります。以下は、これらのポイントを簡潔にまとめたものです。マルチトラックでボーカルレコーディングするにはDAWを用いたパソコンによるレコーディングがもっとも定番。以下のポイントはしっかりチェックしておきましょう。

ボーカルレコーディングの効率的なセッティングには、いくつかのキーポイントがあります。以下は、これらのポイントを簡潔にまとめたものです。マルチトラックでボーカルレコーディングするにはDAWを用いたパソコンによるレコーディングがもっとも定番。以下のポイントはしっかりチェックしておきましょう。

  1. . レイテンシー対策: レコーディング中、特にDAWを使用している場合、レイテンシ(音の遅延)が生じることがあります。これを避けるためには、モニターミックスの調整が重要です。モニターミックスをインプットに寄せることで、歌声とリターン音のディレイを最小限に抑えることができます。

  2. ダイレクトモニタリング: ダイレクトモニタリング機能を持つオーディオインターフェースは、レイテンシ(遅延)の問題を最小限に抑えるのに非常に便利です。これにより、パソコンのCPUだけでなく、外部機器を使用して処理を分担することが可能になります。

  3. 音量レベルの調整: レコーディング時の音量レベルは、最大音量でオーバーロード(クリッピング)しないように注意する必要があります。マイクからの距離調整と、声の最大音量を出してみて、ピークメーターが赤くならないようにレベルを設定します。(最大部分がメーターの-6dB~12dBくらいにかかるバランスで充分)

  4. モニターバランスの調整: ボーカリストは、モニターミックスのノブを回しながら、自分の声と伴奏(カラオケトラック)とのバランスが最も良い位置を見つけるべきです。このバランスが取れることで、最適な状態でのパフォーマンスが可能になります。

これらのポイントは、クリアでプロフェッショナルなボーカルトラックを録音するための基本です。適切なダイレクトモニタリング、レイテンシの最小化、音量レベルの適正な調整、そしてモニターバランスの最適化により、レコーディングの質を大幅に向上させることができます。

ボーカル録音のセッティングポイント①

より良い収録のために、プロが録音時に現場で行うエフェクター回りの知識も覚えておきましょう。音量の強弱をコントロールをサポートするコンプレッサーやボーカルの歌いやすさをサポートするリヴァーブ設定など、パフォーマンスを左右する細かな積み上げは真似すべきです。

  1. マイクの距離とコンプレッサーの使用: コンプレッサーは、音の大きすぎる部分を抑え、小さすぎる部分を引き上げることで、全体のバランスを整え、歌いやすい環境を作り出します。しかし、コンプレッサーがない場合は、マイクの距離で音量を調整する必要があります。特に、メロディやサビなどのパートによってマイクの距離を変えることで、最適な音質を追求します。

  2. リバーブの適用: ダイレクトモニタリング中にリバーブを効果的に使用するには、プリフェーダー送信を活用することで、ボーカルトラックのレベルを下げてもリバーブをかけることが可能です。これにより、歌いながらリバーブの効果を聴くことができ、パフォーマンスの質を向上させることができます。

  3. モニターミックスのバランス: 歌手自身が、モニターミックスを調整し、自分の声と伴奏のバランスを見つけることが重要です。これにより、最も快適に歌える環境を自分で作り出すことができます。

  4. ウィンドスクリーンとポップガードの使用: ウィンドスクリーンやポップガードは、不要な呼吸音やポップノイズを防ぐために重要です。これらのツールは、録音中の音質を大きく向上させることができます。

  5. マイクの位置: マイクを上から吊るすか、正面から置くかなど、マイクの位置は録音される音質に大きな影響を与えます。実際に歌ってみて、最適なマイクの位置を見つけることが推奨されます。

ボーカル録音のセッティングポイント②

究極のアナログ録音である歌のレコーディンングはデジタル的な対策はもちろん、何よりも声をどのように録音するかが最も重要なポイント。機材さえあれば誰でもできる「録音」を行うため、プロのレコーディングエンジニアが存在するのはこういった細かなノウハウを持っているからこそです。

  1. マイクの位置と距離: マイクの位置と距離は、録音される音の質に大きく影響します。ボーカリストによって最適なマイクの位置は異なるため、試行錯誤を通じて最良のポジショニングを見つけることが推奨されます。喉元に近づけることで、より太い声やニュアンスを捉えることができ、一方で少し離すことで、明瞭さを保ちつつ自然な響きを得られます。録音をフォローする相手がいない場合、試し録りして録音状態を必ずプレイバックして心地いいバランスを目指しましょう。細かなニュアンスの違いを聞き分けるにはヘッドフォンクオリティにもこだわるべきです。

  2. 動きの自由度: パフォーマンス中に動きが必要な場合は、その動きを妨げないセッティングを考慮することが大切です。マイクスタンドの位置やポップガードの使用など、ボーカリストが自由に表現できる環境を整えましょう。

  3. マイクからの距離による影響: マイクからの距離は音量だけでなく、音質にも影響を与えます。距離が変わることで低音の出方が変わり、また部屋の反響やノイズの拾い方にも違いが生じます。実際にマイクからさまざまな距離で歌ってみて、最適なバランスを見つける実験を行うことが有益です。

  4. 部屋の反射音とノイズの管理: マイクから離れると、部屋の反射音やノイズが録音に含まれやすくなります。これは後のミックスで問題となることがあり、オンマイクでの録音が基本とされています。適切な距離での録音を心掛け、不要な反響やノイズの影響を最小限に抑えましょう。

これらのセッティングポイントは、ボーカリストが最高のパフォーマンスを提供するための基盤を作ります。細かな調整がプロフェッショナルな音質を実現する鍵となり、録音環境の理解と技術の適用が、高品質なボーカルトラックを生み出すために不可欠です。

リフレクションフィルターを活用したボーカルレコーディングのテクニック

さらにレコーディングスタジオに近づけたい、こだわりのある方はリフレクションフィルターを使用するという手もあります。

リフレクションフィルターは、ボーカル録音のクオリティを向上させるために非常に有効なツール。手軽に設置できる上に、比較的リーズナブルな価格で購入可能なものから、より高価で高性能なモデルまで幅広く存在します。録音環境や求める音質に応じて選択できるため、自宅録音のクオリティアップを図りたい場合に特に推奨されます。

リフレクションフィルターの役割
 

リフレクションフィルターは、マイクに向かってくる直接的な音声以外の反射音やエコーを軽減することで、よりクリアでプロフェッショナルな録音を可能にします。部屋の壁や机などからの不要な反射を抑えることができ、録音時における音質の向上に寄与します。

録音時の配置
 

リフレクションフィルターを使用する際は、マイクとの距離感や配置に注意が必要です。理想的には、アーティストがフィルターの中央に位置し、マイクがリフレクションフィルターによって囲まれる形でセットアップすることで、最大限の効果を発揮します。フィルターの背後にある空間はできるだけデッドスペースにし、余計な反射を避けることが推奨されます。

反射の管理
 

リフレクションフィルターの使用は、反射音を管理するための一つの方法ですが、部屋全体の反射を完全にコントロールすることは難しい場合もあります。そのため、追加で吸音材を壁や天井に設置する、もしくは毛布を使用して反射をさらに抑えるなどの工夫が有効です。特に座って録音する場合は、机からの反射も意識する必要があります。

まとめ

いかがでしたか?パソコンにコンデンサーマイクとオーディオインターフェースがあれば、ボーカル録音は誰にでもできます。しかし、プロクラスの音質を得るには膨大なノウハウが必要。これらの細かな微差が結果的に大きな差を生み出します。

僕は自宅録音している歌い手さんやミュージシャンからミックスマスタリングの依頼も受けていますが、ボーカル録音は声量とのバランスからメーターは振り切ってなくても、細かな音割れを発生させてしまっている素材もよく扱います。

録音は積み重ねによる経験値が最も重要。少しでも参考になれば幸いです。

​ありがとうございました。

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