宅録コンデンサマイク収録のボーカルミックスが失敗する最大要因は録音時のピーク成分
![レコーディング・セッション](https://static.wixstatic.com/media/11062b_52346acbec41498ebeb31f28ac074372~mv2.jpeg/v1/fill/w_491,h_326,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,enc_auto/%E3%83%AC%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3.jpeg)
何だか「モヤッ」とするオリジナル曲のマスターデータ
プロアマ問わず様々なコンテンツの音質改善やミックスマスタリングをお手伝いしている山川@hsr です。
Apple MusicやSpotifyなどサブスクでオフィシャル楽曲を配信する本格志向のクリエイターから定期的にミックスマスタリングのお仕事を請け負っています。録音経験値が浅い若手クリエイターからの相談は残念ながらトラック状態が微妙なケースが少なくありません。
特にコンデンサマイク収録のボーカルトラックはオーディオレストレーション(細かなノイズ除去や修復)を勧めるケースが大半です。
プロクオリティにしたかったら緻密なエフェクト処理は必須
![eqpイコライザー](https://static.wixstatic.com/media/07d00b_513e7273abd74a2da0e3464da124d7d0~mv2.jpg/v1/fill/w_122,h_81,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/eqp_0049.jpg)
当ボーカルミックスでは音に厚みや太さ(コシ)を加えたり音の強弱をならす目的でコンプレッサーやリミッターを多用しますが、プロクラスのボーカルトラックに仕上げたい場合、これらのプラグインエフェクトは欠かせません。
特にコンプレッサーやリミッターを使うとき、録音状態が悪いと雑味のようなノイズが強調され、馴染みの悪い微妙トラックになりがち。
ボーカルは歌もの楽曲の主役なので全体的なクオリティに直結します。録音トラックに素人っぽさを感じてしまう主原因だったりします。
細かなノイズのため、安価なヘッドフォンやイヤフォンでは聴き取れず、気付かないまま音作りしているパターンもあります。モノにもよりますが、最低限の解像度がないと聴いてる音そのものが自身のクオリティー限界になってしまいます。
宅録コンデンサーマイクの弊害
自安価で手に入りやすくなったコンデンサーマイクは音にこだわりたい宅録クリエイターは真っ先にチョイスするマイク。
しかし、録音感度が高いコンデンサーマイクは防音スタジオ環境でないと環境ノイズはもちろん、ちょっとした所作やリップノイズ、時計の秒針や冷蔵庫の通電音まで拾ってしまいます。
アビテックスなど専用ブースを持たない宅録の場合は簡単にノイズカットできるWAVESのclarityなどは一先ず用意しておきましょう。
Waves Clarityなどの簡単系ノイズ除去プラグインで除去できないノイズはiZotopeRXなどのオーディオリペアツールが必要。ガチでプロ並みのクオリティを求める人は安価にゲットできる簡易バージョンを試すことをお勧めします。
私のような専門プロに依頼するのもアリですが、簡単な修復は自身でできるとリカバリーできる安心感が得られます。
もちろん、ノイズ除去は適用する分、生々しさや空気感が無くなってしまいます。少しでもノイズの少ない場所でより良い状態で録音できるに越したことはありません。
安く済ませようとカラオケボックスを使う方もいますが分厚いオケトラックじゃない場合は他の部屋からの音が被りやすいのでクオリティを求める録音には不向きです。
音割れに近い雑味が出るコンデンサーマイク
声量の大きなボーカルや単にマイクに近づき過ぎて入力過大になっていると、波形上では潰れずに余裕があっても中高域で音割れに近い雑味(以後雑味と表現)が中高域にランダムに発生します。
マイクプリアンプ(オーディオI/F)やマイク自体の品質にもよりますが、当方にトラック修復を依頼するアマチュアミュージシャンの半数はこのトラック状態。録音がデジタルベースとなったことで収録時にコンプレッサーでピークを抑える処理ができない方が多いのも原因のひとつ。
声量の強弱の大きくかつマイクの距離感を調整できないボーカリストの録音は専門プロでも簡単ではありません。
オケに混ぜて聴くとよく分からない雑味ですがボーカルトラックのみソロモニターするとボーカルが張った部分で歌と関係ない音が「ピキキ~」「ジリジリ~」、と鳴ってしまうことも。もちろんパソコンの低品質スピーカーや安価なヘッドフォンではここに気づかずミックス作業で「なんかしっくりしない」と、煮詰まります。
高品質でモニターすると金網が細かな振動で震えるようなジリジリ、ピキッという音がボーカルの強いビブラートや声量とともに発生します。
レベル上ではピークまでバッファがあっても音割れに近い雑味はエフェクトを重ねていくうち強調されてしまいます。
これらを処理するためにはスペクトラムグラフ表示ができるiZotopeRXなどで帯域上のピークを見極め(聴き分け)ピンポイント修復やボリューム調整を行う必要があります。
ボーカルの録り直しをオススメすることも
レストレーション(音声修復)処理は軽度なものなら殆ど違和感なく修復できますが、全編に渡り処理数が多いと歌声の艶のような美味しい成分が軽減され、歌の艶が無くなってしまいます。
先日ミックスマスタリング 依頼いただいたクライアントさんには結局この作業まで行ってから大事なエッセンスが削られてしまうことから録音し直しを提案しました。
マイクセッティングを変更して録音をやり直すとしても、微妙な録音品質を聴き分ける耳とそれなりに高品質のモニターヘッドフォンは必須なので音楽制作で定番のものはチェックしておいた方が賢明です。
ダイナミックマイクの方がむしろ良い場合も
![マイクロフォン](https://static.wixstatic.com/media/11062b_c8639b8f04d14c9099c3956d7305f19b~mv2.jpg/v1/fill/w_122,h_82,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%20.jpg)
しっかり防音・吸音(部屋の響きを押さえる)できない普通の部屋での宅録やリハスタしか利用できない場合、リハスタでも定番のSM-58ダイナミックマイクの使用が ぶっちゃけおすすめです。
超高品位なワールドクラスの作品を発表しているビョークやブライアンイーノの最新作もメインのボーカルマイクはSM-58。全く問題ないクオリティですし、バンド用のリハスタならタダでレンタルできます。
むしろ宅録環境下ではノイズや雑味を含んだコンデンサーマイク収録より良い結果を生むケースは少なくありません。
(まとめ)コンデンサーマイク収録で上手くいかなかった時に試すこと
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プロエンジニア監修の下記の動画を見る
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定番のモニターヘッドフォンをゲットする
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部屋鳴り対策をする
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簡単なノイズ除去プラグインは使えるようにする
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できればプリアンプやオーディオインターフェイスにも投資
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コンプレッサーもかけドリできる機材環境にする
何度も撮り直しができない、どうしてもミックスが納得いかない、
音楽クリエイターがいらっしゃいましたらハイブリッド・サウンドリフォームまでお気軽にお問い合わせください。
問題のあるマルチトラック素材の修復・改善をはじめ、高品質なミックスマスタリングをプロアマ問わずお手伝いしています。
CD製作、サブスクリプション用の配信マスター製作、 LIVEやYouTubeコンテンツなど豊富な改善・納品実績ございます。お気軽にご相談ください。