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執筆者の写真Sound Reformer / yamakaWA

レポーターの声にかぶる場内アナウンスの除去(映像作品)

更新日:2020年11月11日


先日、とある映像制作会社から高難易度の高い案件をオーダーいただきました。数十秒尺の音声にもかかわらず、厳しい仕上がり要望で何度もトライアル&エラーを繰り返しやっとのことで納品しました。

イベント会場でのレポート音声に会場内誘導アナウンスがもろかぶり


レポーターの声にかぶる場内アナウンスの除去(映像作品)

音声修復をご依頼いただいたのは、とあるイベントでレポートする映像コンテンツ。レポーターが会場の様子を話している最中、イベント会場内をとりしきるアナウンサーが場内客を誘導する長いアナウンスの声がもろかぶりしているというもの。

場内の臨場感はいかしつつも、レポーターの声だけを生かし、アナウンスの声はゼロに近い状況に改善できるかがポイントです。

本来であればこれはNG素材として採用できない

動画カメラマンが音声を同時収録していたようですが、おそらく音声モニターをとっていなかったのでしょう。ベラベラと後ろでしゃべりまくっている場内アナウンスを気にしないまま、本チャンに使用できる素材として判断しまったようです。

場内アナウンスのボリュームは大きく、主役であるレポーターの音量と10:8くらいのバランスで収録されてしまっていました。マイクまでの距離が違うので場内の音は少しエコーがかかって聞こえます。流石にレポーターが喋っている間は近い分その音声もある程度かき消してくれているのですが、レポーターがしゃべっていないすべての時間帯をばっちりその会場アナウンサーの声で埋め尽くされています。

編集現場としては現場音のエアー音声素材を利用し、画面を見ながらアフレコで差し替えするのが最もベターな策と言えますが、混ぜ込める(アナウンスが聞こえないザワザワという現場音)の素材もない。どうしても入れる必要がある締めのコメントだが、新たにリテイクができる内容ではなかったということです。

最も苦戦したのは声成分の判別と軽減処理

当方がこの手の音声処理でメインで使用するRX6Advancedで初めに行った編集作業の手順。

  1. レポーターがしゃべっている以外の部分を無音化

  2. アンビエンスマッチという環境音の合成モジュールを使って、この素材の誰もしゃべっていない部分から会場の「ざわざわ音」をキャプチャーし、無音になった部分に合成。

  3. スペクトラムメーターのあらゆる部分を拡大したり細かくピンポイントモニターしながら、かぶった場内アナウンスの声を縦横無尽に探しながら軽減処理を地道に行う。

と、箇条書きにすると簡単ですが、①②③の作業比率は1:1:350くらいのバランス。はっきり言って③を超絶的に地道にトライ&エラーを繰り返しながら作業します。

レポーターもアナウンサーも女性のため、音声データの中ではほとんど同じ帯域に音声記録されているため、どうしてもカットした分、活かしたいレポーターの声に影響がでてしまいます。

初回にサンプル提案したバージョンではこの部分でクライアントの満足が得られませんでした。ただし技術力にご期待いただけたこともあり、予算と納期を上積みいただき、残り2回ほどのテイクを提案したのち採用いただけました。

数十秒尺の編集でここまで時間をかけるケースはほとんどありませんでしたが、ご予算と納期の条件が合いましたら承れる案件もございます。

このような一見無理な改善も初回トライアルは無料ですのでお気軽にご相談ください。

※クオリティ優先であれば問い合わせフォームのご予算はなるべく上限でご記入ください。ある程度予算に合わせてグレードは調整させていただいております。(常に改善できないときの不採用というリスクを当方は追っているため)


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