オーディオデータの修復や高音質化サービスを提供している山川です。最近は映像関連のプロからのトラブル案件依頼が多いのですが、一定の割合で問い合わせが多いのが特定の音源から「ボーカルを消してほしい」という内容です。
おそらく原因はサイトの各箇所に設置しているレビュー動画↓↓↓
上記の動画は商品レビューを中心に活動しているYouTuberさんから、トライアルの申し込みがあり、改善効果を前後レビューしていただいたものです。この中で、動画中にiPhoneの着信音を鳴らし、それを除去した結果(4:50地点)が記録されています。
おそらくこの動画を見た方が当方のスキルにご期待いただいて、お問い合わせがあるのだと想像しています。
音楽コンテンツのボーカル抜きはそこまできれいにはなりません
音楽からボーカルカットを試みると、なかなかいい結果を生むのは困難です。なぜかというとiPhoneの着信音は明らかに「異物として」存在するのに比較して、音楽作品のボーカルは主役であり、音の調和の軸。全体的なバランスが崩れ、顔が無くなってしまった人間のような違和感がでてしまいがち。
しかし、ボーカル除去専用の高額アプリケーションも存在しており、ニーズが多いことから当方も導入をしています。
ボーカルトラック除去専用アプリTRAX PRO
TRAX PROという高性能のボーカルトラック除去アプリケーションが発売されています。500ドルくらいして、中々高額なのですが、どれくらい効果があるかチュートリアル動画でチェックしてみてください。(2020.10月現在、当方は全く使用しなくなりました、理由は下記記事に)
これ、使いこなしが難しく、楽曲によって効果がまちまち。昔から存在する簡易的なボーカルキャンセラーと違い、歌の成分を「ごっそり」抜くことができます。当方の感覚だと、結構綺麗に抜けた場合でも「鼻と口をふさいで」歌ったような「う~ん」というこもった感じの歌が微かに聞こるような感じがします(笑)
DJなどがMIX用にボーカルネタを抜くニーズからこのアプリケーションが開発されたと想像しています。感覚値ですがリズムがある楽曲のほうがきれいに除去できる傾向があるように思います。
ワークフローとしては、アプリケーションに解析させてボーカルトラックをごっそり抜き、切り抜きできなかった、カスのような部分を様々なアプローチで丹念に除去していくというものです。
(追記2018.10)iZotope RX7にもボーカルカットにも使える新たな機能が加わりました
筆者が音質補正にメインで使用しているiZotope社のRX8Advanced(最新版)にMUSIC REBALANCEというモジュールが最新版で追加されました。こちらは簡単にボーカル成分などを軽減することができます。
これを入手する直前にお問合せがあり、試してみたのですが参考にされているサンプルほど綺麗には除去することができませんでした。理由として考えられるのはデータ量です。
難しいボーカルカットには少しでも解像度の高いデータが必須
iZotopeの説明によると、AIによる膨大なデータからディープランニングで特定のボーカル成分を解析し軽減しているとのこと。精度の高い解析をしていることから、当方に依頼のあったMp3データではボーカルをカットしてしまうと、他のオケの損傷が大きくカラオケで使えるレベルには至りませんでした。
(2020.10月追記)
上記iZotopeRXが最新版8がリリースされました。MUSIC REBALANCE機能もアップデートされ、さらに除去精度が向上しました。残りカスがぐっと出にくくなり、当方の工数も激減しました。
ロックやポップスなどのドラム、ベースが入った楽曲は特に顕著です。
比較的簡単に処理できる楽曲は下記の傾向があります。
・オリジナルのCDなどから抽出した非圧縮音源(wav.aiffなど)
・ドラムやベースでアレンジされた比較的厚みのあるアレンジの楽曲
・なるべくコーラスが少ない(男女デュエットなどは苦手)
mp3は圧縮音源ですので音成分のデータ量が大きく間引かれています。もしご依頼を検討されている方がいらっしゃいましたら必ず非圧縮のwavデータ等でお申し込みください。
著作権の問題があるので個人利用に限るのと、その使用に関しての責任はご依頼者がすべて請け負うという形でお引き受けしております。
ラフカットなら1曲2,000~3,000円でお引き受けします。
お問合せをお待ちしております。
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