ICレコーダーやボイスメモアプリに録音した音声って聞きづらい場合がありますよね?裁判の音声証拠として音質改善をご依頼いただく機会は割と多いのですが、昨年末に新たなパターンで電話の会話における解像度の向上でした。
電話の向こう側の音声は結構聞きづらい
「電話インタビューの音質改善」をオファーいただきました。世論調査のような内容を想像していましたが音源を確認したところ、いわゆる電話面接でした。最近は企業の採用における1次選考に電話面接があるようです。
クレジットカード会社や保険会社などのカスタマーサービスに電話すると最近は「サービス品質向上の為に会話を録音する」といったないようのアナウンスが流れることがあります。こういった場合は双方の会話がバランスよく録音できる機器が導入されています。
しかし依頼いただいた音声は電話機のスピーカーをONにしてICレコーダーにて録音されたものでした。こういったケースは録音側(ここでは面接官)の接近くで声を収録するのでクリアでボリュームもはっきりしています。
しかし電話の向こうでしゃべっている声は電話回線と電話機のチープなスピーカーの音により、こもったような電話特有の音質になります。特に活舌のはっきりしない男性の声はとても聴きづらいものです。
こういった音声をどのようにクリアにするのか?
デジタル録音された会話だと「シュー」というノイズは気になりませんが、帰って細かく拾ってしまう物音や服や紙の擦れる音などが気になりますね。それらの環境ノイズはさほど気にならないレベルだったため、とにかく電話の向こうの男性の声をクリアにする作業を進めました。
①会話の音量をならす
インタビュアーのボリューム(録音されたレベル)が仮にレベル10、電話の声がレベル3くらいの場合は当然、小さな声の部分を細かくボリュームコントロールしたり、会話セクションごとの波形を切り刻みながらエディットすることもあります。
当然、こちらは会話量が多いほど、手数が増えてとても大変なので工賃が上がってしまいます。
②各種エフェクト処理を行います
聞こえにくい帯域ごとに必要なエフェクト処理を加えていきます。電話なら中高域だけが良く聞こえ、コシがない声になりがちです。良く聞こえる成分とそうじゃない部分を聞き分け、イコライザーなどで補正します。コンプレッサーという音を圧縮➡️(大きな音は小さく、小さな音は大きく)処理することにより平均的なボリューム感を上げていきます。
会話の録音にありがちな、聞こえづらい部分の音声をこれらの処理で持ち上げます。
③ノイズ処理でさらに聴きやすく
記録された音が小さくて、無理やり音量を上げようとすると「シュー」というオーディオノイズが強調されてとても耳障りです。これらを最新のノイズ処理で綺麗にしていきます。
もちろん、記録状態によりこれだけではなく細かな処理をすることもありますが、ワンタッチでできる簡単な処理は行わず、専門担当が経験値を活かしてベターの音声にしていきます。
しかし、ぶっちゃけ音量差が大きすぎる電話の会話は無料トライアルからの採用確率が大変低いです。電話スピーカーの小さな音はほぼデータ化されていないからです。ボイスレコーダー音源で改善期待できるのは非圧縮のwavデータ。そのような会話を録音する際は長時間録音できるmp3モードにしないことがポイントです。iPhoneのボイスメモを使う場合もロスレス設定がポイント。