弾き語りカセットテープのノイズ除去&デジタルリマスター
動画や音声データの修復・ノイズなどを手掛けるサウンドリフォーマーの山川@HSR_YBです。先日、久々にカセットテープ音源のリマスター依頼がありました。
保存限界期限がきている各種磁気テープ
もともとVHSテープのライブ音源を高音質化するサービスからスタートしていましたが、磁気メディア(カセットテープ ,VHS , DATなど)を扱う機会は激減し、年に数回しかありません。
再生端末が壊れたり、テープの経年劣化など、既に再生できる環境下にない方が主流になっており、古いデータを扱う場合でも多くの場合はデジタル化された音源。データもウェブストレージサービスで受け取る仕事が大半です。
弾き語りのカセットテープ音源
クライアントは若かりし頃、六本木や新宿などのパブなどでライブ演奏を中心に活動していた女性シンガー。現在は別のお仕事をされているとのことですが、周りの方々は誰も元シンガーとは信じてもらえないそうです。
唯一証明できる音源は、カセットテープに録音した音源。音質を改善して品質的にも聴きやすいCDにしたいとのことでした。おそらく30~35年前くらいの音源、カヴァー曲で構成されています。
ドルビーBだけでもかなりノイズが取れた
テープはノーマルテープ。カセットテープ世代にはお馴染みですが、アナログカセットテープデッキは「シュー」というヒスノイズが乗りやすいものでした。そのため、安価なラジカセでもヒスノイズ軽減ができる「ドルビーB」対応の機種が大半。録音時にこのこのボタンを入れておくことで大まかなノイズリダクションが可能です
インデックスにノイズリダクションチェックはありませんが、当方が所有するTEACのカセットデッキでいくつかのドルビーノイズリダクション(B/C/S)ボタンを試してみました。
おそらくドルビーをオンにして録音されていたのでしょう。Bモードをセレクトするとびっくりするくらい綺麗になりました。それをオーディオインターフェース経由でPC録音し、デジタルデータ化しました。
楽器バランスが悪い&客席のノイズ
テープ要因のノイズはドルビーでそこそこ綺麗になりました。しかし、収録された音楽自体のバランスはあまりよくありませんでした。
ボーカル+歌+リズムボックス
これらの音声がそれぞれPAミキサーにまとめられ、そのラインアウトをそのままカセット録音されたのでしょう。ボーカルとリズムボックスだけが極端にボリュームが大きく、メインのバッキング楽器であるピアノが小さくしか入っていません。会場が大きくないことからピアノにはマイクを立てておらず、店内のオフマイクから拾った音が少し混ざっているようです。客席の声はそこまで大きくはありません。(歌っていないピアノオンリーになる部分では少し気になる程度)
80~90年代のライブハウス音源(2MIX)は同様にPAミキサーのラインアウトを録音しただけの、
楽器バランスが悪い音源が無数に存在しました。その手の音源は大半、聴きづらく人に聴かせるのには耐えられないクオリティ。
最新の技術ではざっくりとではありますが、録音済の音源から、AI解析により楽器のリバランス処理ができます。
やや大きめの予算をご提示いただいたこともあり、客席の声や気になる物音も細かく処理。お酒が入る店ではどうしても汚いワードも混入しがち、それらを軽減するだけで雰囲気も変わります。
細かなノイズリーンののち、最終的にマスタリング処理。現代クオリティに近い音にハイブリッド化しデジタルリマスター。CDにして納品しました。
貴重な宝物のような音源をハイブリッド化
コロナ禍で外出しづらい昨今、ステイホームの楽しみとして、自らの貴重な音源をハイブリッド化するにはいい機会です。もちろん、各種DAWやAppleガレージバンドでマルチレコーディングしたのミックスマスタリングやピッチ補正(ハーモニー生成)も高いコストパフォーマンスで提供。
ハイブリッドサウンドリフォームでは古い、VHSやカセットテープ音源の高音質化もご依頼を承っております。自身にとって貴重な音源を聴きやすい音にしてもう一度みませんか。
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