自主制作映画専門で整音・MA依頼を請ける理由|商業スタジオとの違い
- Sound Reformer / yamakaWA

- 5 日前
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映画は、画だけで成立しません。
セリフが聞こえるか/空気がつながっているか/音量が暴れないか——ここで観客の集中は簡単に切れます。
そして自主制作だと、現場はさらに過酷。
ロケの空調、反響、交通音、風、衣擦れ、ピンマイクとガンマイクの質感差、シーン跨ぎの背景音の“段差”…。「撮れ高は最高なのに、音が追いつかない」という状態が起きやすい。
だからこそ、私は 「自主制作映画専門」として整音・MAを請けています。
「俳優の芝居の“息づかい”を取り戻す」「音質のせいで映画祭の審査対象外になるリスクを回避する」——このあたりを、作品単位で責任持って背負うためです。
商業スタジオ(大手ポスプロ)MAと何が違うのか
まず誤解のないように言うと、商業スタジオには商業スタジオの強みがあります。
ブース・スタッフ・立ち会い体制・運用ルールが整っていて、スケジュールが大きく、案件規模が大きいほど、安定感が出る。
ただし——自主制作にとっては、そこが「コスト」になることもある。
私のサイトでもMA・整音作業の相場感として、
個人受注(1人完結型):40〜60分/Stereo 2.0基準で 6〜20万円台が多い
大手ポスプロ:ブース・スタジオ・アシスタント・立ち会い稼働など固定費が重なり 60〜150万円超も珍しくないと整理しています。
つまり違いは、音の良し悪し以前に 「固定費構造」と「進め方」。
自主制作に必要なのは、豪華な設備というよりも——
限られた素材を“救う”音声修復力
演出意図を読み解き、最短距離で整える判断力
ピクチャーロック後のリテイク地獄を避ける設計力
この3つが噛み合うことだったりします。
なぜ「自主制作映画専門」でやるのか:作品の“現実”に寄り添えるから
1) 音声修復(レストレーション)が前提の現場が多い
自主制作の音は、理想条件では録れないことが多い。
だから私は「整音=ノイズを軽くする」だけじゃなく、
**作品として成立させる“救い方”**を設計します。
実際、映画制作向けメリット記事でも、iZotope RXを使ったレストレーションでノイズ問題に対応する方針を明記しています。
「ノイズ除去強化(RX11/妥協ない消し込み処理)」を前提にしています。
2) “音の翻訳者”として、世界観を守る
私は自主制作映画MAプランの導入で、
「あなたの作品の“世界観”の正確な翻訳を担当します」と書いています。
同じ「ノイズ」でも、
消し切るべきノイズ
残すべき生活音
演出として“汚れ”を残すべき質感
のジャッジを音響監督の目線で行います。
商業スタジオと違い、一気通貫のクオリティが確保できます。
ここは分業やテンプレ処理とは異なる精度があります。
3) 納品仕様と上映事故のリスクを潰す
自主制作で地味に痛いのが「上映で音量が暴れる」「配信で聴こえ方が変わる」事故。
だから私は、-20LUFS納品/48k/24bitステレオなどを明示し、映画祭応募標準ではEBU基準に沿った音圧調整や5.1サラウンド仕上げまで用意しています。
実績が示す「自主制作でも“戦える音”は作れる」
私は「一人完結型」ですが、作品単位で責任を持って仕上げてきました。
「ふたり」(2021):映画祭用にMAをブラッシュアップし、神戸インディペンデント映画祭2021でグランプリ。
「安楽死のススメ」:整音・効果・ミックスを担当し、マドリード国際映画祭2023 ベストサウンドデザイン賞。
海外ドキュメンタリー “Microplastic madness”(NY撮影)にも整音で参加、国内上映・吹替版にも関与。
そして、利用者コメントとして、
長編映画『よみ芝居』(2025.カイロ国際映画祭プレミア上映)の監督からは
「膨大な課題を丁寧に解決し、作品に深みと明瞭さをもたらした」
「抽象的な要望から具体的なサウンドデザインで変化を起こした」
といった趣旨の推薦をいただいています。
(※ここ、まさに“本気の自主制作”の現場感ですよね。2時間超・時代設定・チームの課題——全部ある。)
商業スタジオ利用が難しい監督へ:あなたが得する依頼のMA依頼の仕方
自主制作の整音は、発注側の準備で工数が倍にも半分にもなります。
私が特にお願いしているのは次の4つです。
ピクチャーロック厳守(最重要)
AAF/OMFのタイムライン整理(素材が混在していると検証工数が増える)
各シーンの**“重要なセリフ3選”**を共有(基準が決まる)
参照作品を1〜2本(タイトル+タイムコード)
これが揃うと、限られた予算でも「編集効果が高い部分」に時間を集中でき、結果的に作品が強くなります。
どのMA・整音プランが向いているか(目安)
私は自主制作映画向けに、目的別に3段階の見積目安を提示しています:
Indie Basic:最低限の品質担保(短編想定)
Festival Standard:映画祭セレクション通過率を上げるための“完成形”
Cinema Premium:劇場上映・配信基準での“安心クオリティ”
「今の素材で、どこまで上がるか」も含めて判断したい場合、
私はまず素材の一部を見て、難所と優先順位を提案する流れを用意しています。
まとめ:商業スタジオじゃなくても、“観客に届く音”は作れる
大手に頼めない=妥協、ではありません。
自主制作に必要なのは、巨大な固定費よりも、
素材を救う技術と、作品の意図を翻訳する設計です。
あなたの作品が本気なら、音も本気でMA依頼しましょう。
映画祭でも上映会でも配信でも、
**“観客に届く「伝わる音」”**にして、作品を最後まで観てもらうために。


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